人工透析について
人工透析(血液透析)について
■腎臓のはたらき
腎臓は体内に溜まった老廃物や、余分な水分を体外に排泄する働きをしています。
それにはつぎのような様々な機能があります。
①尿を作る(体内の毒素の排出・電解質の調整・水分の調節)
②血圧を調整する(腎臓内の血流が悪化すると、血圧を上げるホルモンを出す)
③血液を造る働きを助ける(赤血球を造る働きを助けるホルモンを出す)
④ビタミンDを活性化する(カルシウムを腸から吸収しやすくする)
慢性糸球体腎炎や糖尿病腎症などが原因で慢性腎不全の状態になると、次のような様々な障害が生じるようになり、生命維持が不可能になってきます。
①尿が作れない→尿毒症状(吐き気・食欲不振・頭痛・倦怠感など)
電解質が乱れる(カリウムの上昇によるけいれん・しびれ、心臓の動きに障害)
水分がたまる(むくみ・呼吸苦)
②血圧が上昇する
③貧血になる
④カルシウムの代謝異常が起こる→(骨がもろくなる・かゆみ・イライラ感)
■透析とは
人工透析とは、低下した腎機能の代わりに、機械によって腎機能の代替する腎機能代変療法のことです。
標準的には、週3回、1回あたり3~5時間程度、この治療を行います。
◆一般的に血液透析(HD)と言われているものの原理は、血液を体外に取り出し“ダイアライザー”
という、半透膜でできた細いストロー状の中空糸の束に血液を通し、中空糸の外側に流れる透析液と
触れさせることで、血液と透析液の濃度差で物質のやりとりを行い(拡散)、血液中の老廃物を取り除き、
電解質のバランスを整えて、血液を体内に戻すという方法です。
◆血液濾過(HF)というのは、血液側に補液を加えることにより圧力を加え、透析液側に中空糸の穴から
血液を搾り出すこと(限外濾過)で、老廃物を取り除くという方法です。
◆血液濾過透析(HDF)はこの二つの方法を合わせた治療法で、より多くの老廃物を取り除くことができ、
人間の腎臓の機能に近い方法で、血液を浄化させることができます。
■オンラインHDFとは
◆血液濾過透析(HDF)には、“オフラインHDF”と“オンラインHDF"があります。
オフラインHDFでは血液に圧力をかけるために用いる補液が、パック等に入った薬剤を用いるため、
加える補液の量は少量です。
しかしオンラインHDFでは、透析液をそのまま補液として用いるため、補液の量はオフラインHDFと
比べずっと多く、それによって、より多くの濾過を行うことができ、より多くの老廃物を取り除く
ことができるようになります。
◆オンラインHDFを受けることによって、透析中の血圧が安定して除水がスムーズになったり、
貧血、からだのかゆみ、しびれなどが改善したり、透析治療を長期にわたり受けている方に
起こりやすいアミロイド―シスという合併症の予防をすることができます。
◆オンラインHDFを行うには、用いる透析液が非常に清浄でなくてはできません。
そのため、厳重な透析液の管理が求められます。
当院では徹底的に清浄化した透析液を使用し、また、エンドトキシンと生菌を毎月検査することによって、
透析液が汚染されていないことを確認しております。
◆当院では約6割の患者様がオンラインHDFを受けられております。
オンラインHDFを希望される方は、お気軽にご相談ください。